当社は、社員が安心して働くことができる職場づくりを推進しています。多様な人財の一人ひとりが生き生きと働き、その能力を最大限に発揮するために、多様な働き方ができる支援制度や職場環境の整備を進め、ワークライフバランスの向上に継続的に取り組んでいます。
当社の働き方見直しは、業務効率化と魅力的な労働環境づくりの両立による生産性の向上を目的とし、2015年度より開始しております。全社的な取り組みとするため各部署で推進委員を選任し、意識改革をはじめ、業務の効率化や有給休暇取得促進などの働きかけを進めています。同時に、ITを活用したシステムの改善、フレックスタイム制度や在宅勤務制度、勤務間インターバル制度などの導入も進めてきました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでとは異なった働き方を求められたことから業務量が増加し、一人当たりの平均月間残業時間は15.3時間、有給休暇取得率は58.8%となりました(取り組みを開始前の2014年度に比べると、残業時間が3.8%減少、有給休暇取得18.6%向上)。今後はテレワークなど新しい働き方や業務効率化をさらに強化し、2021年度は一人当たりの平均月間残業時間を13時間、有給休暇取得率は70%を目指します。
当社では、従業員の仕事への意欲の向上と人財育成を目的に活動目標面接制度を取り入れています。全ての従業員は、上司との面談を通じて半年に1度活動目標を設定し、会社のビジョンに基づき、目指す方向をすり合わせます。期中には、上司との中間面談において、活動目標の進捗確認や軌道修正を行い、期末には総括面談、評価結果フィードバック面談において、活動の総括や個人の強みや弱み、評価結果のフィードバックを行い、次期の活動計画や育成方針、今後のキャリア形成などについて話し合います。以上のように年8回の面談を行うことで、従業員の納得性を高め、人財育成へとつながるよう、制度の運用に努めています。評価は、成績評価と行動評価から成り立っており、成績評価では、活動目標の達成度を成果とプロセスをもとに評価され、行動評価では、役割に応じて定めた求められる行動について、いかにその行動が発揮されたかを基準に評価を行い、成績評価と行動評価を合わせた結果が最終の評価となります。また、原則、複数の評価者が評価を行うことで客観性や公平性を保ち、評価結果は従業員の報酬に反映されています。
当社では、「企業は人なり」の考え方から、今後さまざまな環境の変化に対応し、競争に打ち勝っていくためには、人財育成や多様性向上を進め、一人ひとりの力を伸ばしていくことが重要であると考えています。そのため、4つの成長戦略の一つである「企業基盤の強化」の状況を客観的に測り組織力の向上につなげることを目的として、「組織調査」を2014年より2年おきに実施しています。組織調査の結果は、新規育成プログラムの立案や各種制度の導入時にも活用しています。
2020年度結果の概要(実施期間2020年7月13日~7月21日) | |
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回答者数 | 3,143名(回答率:96%) |
方法 | WEB |
スタイル | 無記名 |
エンゲージメントスコア※1 | 54%(男性:56%、女性:45%) |
質問数 | 全58問中、エンゲージメント関連質問は6問 |
2020年度より、今後の取り組みを多面的に行うため、組織調査の質問項目の大幅な見直しを行いました。それに伴い、エンゲージメントの指標の質問項目も増やし、組織、上司、個人など、さまざまな視点からエンゲージメントを評価できるようにしました。加えて、評価指標を厳しくし、従来の7段階尺度のポジティブ回答スコア5~7の回答者から、スコア6~7の回答者の割合に変更しています。
コロナ禍においても、エンゲージメントスコアは上昇しており、引き続き、ミッションステートメント浸透活動と連動した取り組みを通して、従業員のエンゲージメントの向上に寄与したいと考えています。
当社では、社会全体で子育て家庭を支援し、子どもを生み育てやすい環境づくりを進めることは、企業が取り組むべき課題の一つであると捉えています。2005年に国が定めた「次世代育成支援対策推進法」に基づいた行動計画を策定し、これに則って仕事と育児の両立支援に取り組んでいます。その結果2008年、2012年、2014年、2017年、2020年には基準適合一般企業として厚生労働大臣より認定を受け、子育てサポート企業として認定マーク(くるみん)を取得しています。
また、2015年には、それまでの取り組みが評価され、平成27年度厚生労働省「均等・両立推進企業表彰」において、均等推進企業部門の「大阪労働局長優良賞」、ファミリー・フレンドリー企業部門の「大阪労働局長奨励賞」を受賞しました。
2017年4月以降は、新たな育児支援制度である「育児参加奨励休暇」を導入するとともに、育児休業取得する男性社員への職場の理解促進のための働きかけとして、子育てが男女共有のライフイベントであることの発信を強めるなど、男性が積極的に育児に参加できる環境の構築も推進しています。このような仕事と育児の両立支援や職場環境作り等が評価され、2019年11月に特例認定マーク(プラチナくるみん)を取得しました。
計画期間 | ||
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第1期行動計画 | 2005年4月1日~ 2008年3月31日 |
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第2期行動計画 | 2008年4月1日~ 2012年3月31日 |
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第3期行動計画 | 2012年4月1日~ 2014年3月31日 |
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第4期行動計画 | 2014年4月1日~ 2017年3月31日 |
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第5期行動計画 | 2017年4月1日~ 2019年3月31日 |
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第6期行動計画 | 2019年4月1日~ 2021年3月31日 |
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当社では2021年4月以降も引き続き、男性の育児参画を促進するため、「男性の育児関連休暇制度取得率を75%以上にする」という目標を掲げ、更なる両立支援の取り組みを推進しています。
当社では、法令に定める制度はもちろんのこと、働きやすい職場づくりを目的に、さまざまな制度を設けています。社員の声に耳を傾け、実際のニーズに合致した制度の構築や、法定基準の制度においてはその基準を上回る制度を設けるなど、働き方に多くの選択肢が持てるよう、継続的に制度の整備を進めています。以下の諸制度は、原則全社員が適用対象となります。
また、制度についてまとめたハンドブックを作成し、社内のイントラネットに掲載するなどにより、その内容や活用方法の周知徹底を図っています。
社員・家族の冠婚葬祭、転勤に伴う転居や天災地変のような不可抗力の事故等で出勤不能となった場合以外にも、有給の特別休暇が使用できる制度を設けています。
最低賃金法を遵守し、従業員に最低賃金以上の賃金を支払っています。社員の生活を守り、安心して働きやすい職場づくり推進しております。
当社は、環境負荷の最小化および従業員の健康と安全の確保を重要な経営目標と位置づけ、環境(Environment)、衛生/健康(Health)、安全(Safety)に関する活動(EHS活動)の基本方針を定めています。
生産事業所や研究所における安全衛生については、各事業所で取り扱う化学物質に曝露されるリスク、ならびに、けがや事故につながるリスクについて、リスクアセスメントを実施して課題を抽出し、定期的に開催する安全衛生委員会において対策を講じ、職場環境の改善を継続的に図っています。また、職場巡視を法令に基づき実施し、その指摘事項を委員会で共有し改善提案を行うなど、適切に対応しています。このような活動内容を半期に1回開催されるEHS委員会において共有・意見交換することで、従業員に安全な職場環境を提供することに努めています。
衛生委員会を設置している本社などの事業所では、職場環境測定結果を踏まえ、衛生委員会において社員の健康を維持するための様々な施策の検討を行っています。また、中央衛生委員会を半期に1回開催し、健康経営の取り組み状況を報告するとともに、全社的な衛生事項や各事業所の安全衛生委員会および衛生委員会にて検討された内容・課題について情報共有・意見交換することで、全社一体となって衛生に資する施策等の検討を行っています。なお2020年度に発生した休業災害は、事業場外での転倒などによるものであり、今後もより注意を払うよう啓発活動に取り組んでいきます。
さらに2020年度は、全営業車両にAIを搭載したテレマティクス(通信機能を備えた車載器)を取り付け、危険運転挙動を感知することで、社員の安全運転やエコドライブの意識向上に取り組み始めました。社員の安全確保はもとより、交通事故・違反の減少とエコドライブによる燃費向上でCO2排出量の減少を目指しています。
上記のような各事業所の活動をEHS部門が確認し、労働安全衛生に関わる継続的改善活動を推進しています。
休業災害発生件数および休業災害度数率※2
当社には全国組織である小野薬品労働組合と化学一般小野薬品労働組合(城東製品開発センター)の2つの労働組合が存在します。2021年3月末現在の組合員数は小野薬品労働組合2063名、化学一般小野薬品労働組合14名です。両組合とも会社との関係は良好です。
2021年3月末の社員数、平均年齢、平均勤続は次の通りです。
社員数 | 平均年齢 | 平均勤続 | |
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全体 | 3,319人 | 42.7才 | 16.3年 |
男性 | 2,688人 | 43.7才 | 17.2年 |
女性 | 631人 | 38.5才 | 12.5年 |
社員数(単体)
2021年3月末の契約社員比率は0.1%、派遣社員比率は8.8%です。
(上記の社員数には含まれない)
退職理由を問わない、フルタイム従業員の各年度の3月末の離職率は次の通りです。
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
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自己都合退職率 | 1.0% | 1.3% | 1.5% | 1.6% | 1.2% |
定年退職率、その他 | 0.9% | 0.7% | 0.6% | 0.2% | 1.1% |
離職率の合計 | 1.9% | 2.0% | 2.1% | 1.8% | 2.3% |
当社は、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、革新的な医薬品の創製を通じて、社会に貢献していきたいと考えています。企業理念の実現に向けて挑戦を続けていくためには、すべての社員が心身ともに健康で、その能力を最大限に発揮できる職場であること、また、社員とその家族の生活が充実していることが大切です。私たちは、社員、会社、労働組合、産業保健スタッフ、健康保険組合が一体となって、社員とその家族の健康保持・増進に積極的に取り組んでいくことを宣言します。
2018年4月
小野薬品工業株式会社
代表取締役社長 相良 暁
受診率 | 目標 | |
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胃がん検診 | 95.3% | 100% |
肺がん検診 | 99.9% | 100% |
大腸がん検診 | 94.7% | 100% |
乳がん検診 | 89.3% | 100% |
子宮頸がん検診 | 46.6% | 70% |
ウォーキングキャンペーン参加人数
当社は、2022年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人 2022 ~ホワイト 500~」(大規模法人部門)に4年連続で認定されました。また、2年連続、回答企業の中の上位50位圏内に入り、高い評価を受けることができました。引き続き様々な活動を通じて健康経営に取り組んで参ります。
健康経営を効果的・効率的に行うにあたっては、解決したい重要課題や評価指標(KPI)を明確にし、重要課題の解消に向けた取り組みまでの流れをストーリーとして見える化しています。
健康経営の戦略マップ
社会的価値: 取引先や地域社会に対する健康経営の普及
企業価値: 株式時価総額の増加
健康資源: 人的健康資源、環境健康資源